【辛い時に読んでほしい本】『栞をはさむように休めばいい』。完璧主義を手放して身軽に生きるヒント
本屋さんで見つけた、優しすぎる言葉
本屋さんを歩いているとき、
ある本のタイトルがパッと目に飛び込んできました。
詩旅紡さんの『栞(しおり)をはさむように休めばいい』
という本です。
その場ですぐに購入し、
まだ読み進めている途中ですが、
「栞をはさむ=まだ次がある、終わるわけではない。いったん別のことをしてまた戻ってくる」
というニュアンスの一節を目にした瞬間、
胸の奥がすっと軽くなるような感覚がありました。
なぜ、この言葉がこれほどまでに私の心に響いたのか。
それは、自分が普段から大切にしている感覚と、
これまで周りの人に対して抱いていた「ある葛藤」の答えが、
この中にあったからだと思います。
100と0の間にある、私の「隙間の感覚」
私自身は、物事をそこまで「0か100か」で極端にとらえるタイプではありません。
こだわるところはとことんこだわりますが、
基本的には出力を100から60の間で、
場面ごとに柔軟に切り替えられる方だと思います。
60の力でやってみて失敗したら、
「次はもう少し出力を上げないといけないな」と思えますし、
100で挑んでハマらない場合は、
「次はもっと力を抜いていいかな」と、
実験のように切り替えられます。
自分にとって「100」という数字は、
膨大なエネルギーを使うからこそ、
出し続けるものではないと知っているからです。
「自分の60が誰かの100」になることもあれば、
逆に「自分の100が誰かの60」になることだってある。
そんな、いい意味での「隙間の感覚」を、
私は自分の中に大切な軸として持っています。
「辛いなら逃げていい」という言葉の座りの悪さ
ですが、世の中を見渡すと、
この出力を変えるのがどうしても苦手な、
不器用なほど真面目な人たちがいます。
彼らは「やるからには100(完璧)でなければ意味がない」
と考えがちで、
それが維持できなくなると、一気に0(すべてを投げ出す、諦める)の
極端な世界へ落ちてしまうように見えます。
そんな、100の熱量を出し続け、
疲れている人の相談を聞くたびに、私はこれまで、
「辛くてメンタルがダメになるくらいなら、今の環境から逃げてもいい。逃げても何とかなる」
と声をかけてきました。
しかし、その言葉を口にするたび、心のどこかで、
「本当にこの伝え方でよかったのだろうか」
という迷いや、座りの悪さを感じていたのも事実です。
なぜなら、自分自身はありがたいことに、
そこまで深く追い詰められた経験がありません。
だからこそ、私の「逃げろ」という言葉が、
相手が100の力で必死に積み上げてきた努力やプライドをすべて無に帰すように聴こえて、
相手を傷つけてしまっていないかと、ずっと不安だったのです。
「物語を諦めない」という、もうひとつの選択肢
そんな伝え方の難しさに悩んでいた私に、
この本のタイトルは驚くほどスッと入ってきました。
「栞をはさむ」というのは、
本を破り捨てたり、読むのを諦めて本棚の奥にしまい込んだりする行為ではありません。
これまで読んできたページ。
つまり、その人が必死に積み上げてきた努力をそのままそこに残したまま、
続きはまた後で読むために、一時停止することです。
これなら、「限界まで頑張る(100)」でも「すべてを投げ出して逃げる(0)」でもない、
その間の優しい選択肢になります。
真面目な人の「ちゃんとやりたい」という気持ちを否定せず、
100の熱量を持ったまま、
ちょっとしおりを挟んで別のことをする。
このニュアンスなら、相手の心を傷つけずに「休む」という選択肢を渡せるんじゃないかと感じました。
もちろん、社会全体を見渡せば、
常に100の力でこだわり抜き、
物事を突破していく人がいなければ、
世の中は発展していかないという側面はあります。
それは確かな事実だし、
そうやって走れる人の情熱や誠実さは、
本当に素晴らしく、尊敬すべきものです。
ですが、だからといって
「全員が、同じ場所で、同じタイミングで100を出さないといけない」
わけではありません。
社会はパズルのように成り立っています。
今、あなたが苦戦しているその場所の100は別の誰かが担ってくれます。
その代わり、あなただって過去に別の面で100を担ってきたはずですし、
今この瞬間も、誰かを優しく支えたり、自分の生活を丁寧に営んだりという
「違う面の100」を担って、
巡り巡って社会のためになっています。
「自分が100を出し続けなきゃ、全てがダメになる」と、
世界の責任を一人で背負い込む必要はないのです。
あなたの人生の物語に、そっと栞を差し込んで
常に100でいられない自分を責める必要なんて、どこにもありません。
お互いが違う面で100を出し合い、
疲れたら交代で栞を挟みながら、生きていけばいいのだと思います。
今までの「辛いなら逃げればいい」という私の大雑把な言葉は、
真面目な人を逆に追い詰めてしまっていたかもしれません。
だからこれからは、私の言葉ではなく、
この本の優しい視点を借りたいと思います。
「今は、ちょっとエネルギーを使いすぎたから、栞をはさむタイミングかもね。一旦休んで、また戻っておいで」
そんな風に、
自分の人生の物語に優しく栞を差し込める選択肢を持つことで、
もっと肩の力を抜いて、
身軽に自分のペースを取り戻せる人が増えたらいいなと思います。
